YouTubeアルゴリズム攻略に頼らない本質的な動画戦略
近年、YouTubeは企業のマーケティングツールとして注目を集め、動画コンテンツが企業ブランドの向上や売上増に大きな影響を与えるようになりました。
それに伴い、『〇〇をすれば再生数や登録者が増える』というアルゴリズム攻略が世間から注目されるようになり、実際にセミナーや有料コンテンツを販売する業者も増えています。
多くの企業は「YouTubeアルゴリズム攻略」を掲げ、再生回数や視聴データの向上に注力していますが、実際には企業がアルゴリズムそのものに固執することの落とし穴が存在します。
この記事では、YouTubeアルゴリズム攻略に潜む罠と、それとは一線を画す、企業が取り組むべき本質的な動画戦略について解説します。(人気者になりたい方や登録者数、収益化を狙いたい方は別です)
1. アルゴリズム攻略の現状と潜む罠
YouTubeのアルゴリズムは、視聴者のエンゲージメントや視聴維持率、クリック率など多くのデータをもとに、動画の評価や上位表示を決定しています。一見、再生数や登録者数の増加に直結するように思われがちですが、アルゴリズム攻略に過度に依存する施策には以下のような罠があります。
- 短期的な数字に偏るリスク:再生数やクリック率を追求するあまり、質よりも数字を優先してしまうと、結果的にブランドの信頼性や視聴者との共感を失う恐れがあります。
- アルゴリズムの頻繁な変更:アルゴリズムは常にアップデートされており、過去に有効だった手法が急に通用しなくなるリスクがあります。完全攻略は不可能であり、施策が陳腐化する可能性が高いです。
- ユーザー体験の軽視:クリック数や再生数に固執すると、視聴者にとって価値の低いコンテンツとなり、離脱率が上がると共に、企業のブランドイメージも低下するリスクがある。
したがって、企業としては、アルゴリズムの数字そのものに一喜一憂するのではなく、ユーザーとの「信頼」と「共感」を重視した長期的戦略にシフトすることが重要です。
念の為お伝えしますが、『再生されないより再生された方が良い』『登録者も少ないより多い方が良い』という当たり前のことは理解いただいている前提でお話ししていく内容です。
再生数や登録者数を伸ばすためのYouTubeアルゴリズム攻略に固執するあまり、本来の目的からズレてしまうリスクがあるということ。
企業が取り組むべき本質的な動画戦略の上で、改善や分析を行い、動画コンテンツをより良くしていくこととは全く別のことです。
2. 本質的な動画戦略がもたらす価値
企業が本質的な動画戦略に注力すべき理由は、再生数やクリック率よりも、ターゲット層に響く「ストーリー」と「価値提供」にあります。以下に、企業が実際に注目すべき戦略のポイントを説明します。
ブランドストーリーテリング
動画は、単に商品やサービスの特徴を伝えるだけでなく、企業の理念やビジョン、ストーリーを伝える絶好のツールです。
視聴者は、感情に訴えるストーリーに共感し、企業に対して信頼を抱くようになります。
たとえば、社内の撮影現場でのスタッフの取り組みや、実際の顧客とのエピソードを動画にすることで、単なる数値では表せない企業の「顔、人柄、想い、価値観」を伝えることができます。
質の高いコンテンツの提供
重要なのは、動画の「質」です。企業の専門性や技術が高ければ、その情報を丁寧かつ魅力的に伝えることで、たとえ再生数がそれほど多くなくても、ターゲットとなる顧客層にはしっかりと伝わります。具体的には、
・プロフェッショナルな撮影や編集技術
・魅力的なビジュアルと音声の演出
・視聴者の疑問や悩みに直結する解説
が挙げられます。こうした「高品質なコンテンツ」は、口コミやシェアによって長期的な集客効果をもたらします。
また、今の情報化社会では『問い合わせする以前にネット上で比較する』ことは当たり前になっています。
問い合わせや来店する前段階のことです。本当にターゲット層に刺さるコンテンツ(共感や憧れ)を届けることで、感情や行動を動かすことができます。これが動画だから伝わる力です。
エンゲージメント重視の配信施策
ただ動画を作成して投稿するだけではなく、視聴者とのコミュニケーションを大切にすることもポイントです。
・視聴者からのコメントへの丁寧な返信
・動画内でのコールトゥアクション(CTA)の工夫
・SNSやブログとの連携によるコンテンツ拡散
といった施策を通じて、視聴者が動画を通して企業に対して「親しみ」や「信頼」を感じられるようにします。
そもそも、SNSはコミュニケーションのツールでもあります。インスタもそうですね。
一方的な情報発信で成り立つのは超大手企業や芸能人だと思います。地方の中小企業や個人事業者にとってSNSは顧客や見込み客との有効なコミュニケーションツールであり、それを別の人が見ることもでき、そのやりとりも信頼や評価につながってくる仕組みです。
3. 成功事例に学ぶ本質的な動画戦略
実際に、再生数に頼らず、視聴者との共感を軸に成果を出している企業の事例も多数存在します。
たとえば、ある地方企業ではYouTubeで『提供する商品サービスに関する考え方や想い(コンセプト動画)』を制作することで視聴者から共感を得ることに成功し、質の高い顧客層からの問い合わせ件数が大幅に増加しました。
このように、YouTubeでアルゴリズム攻略に固執するのではなく、ブランドストーリーや視聴者体験に重きを置く戦略が、結果的に売上や集客に直結するのです。
YouTube集客は、誰でもいいから見てもらう、再生数を稼げば売上が比例する。ということはありません。
「誰に・何を届けるか」という顧客層や商品サービスによって戦略は当然変わります。
この事から、そもそも全く違う顧客層や商品サービスが、同じ戦略や手法で簡単に売れるはずないのと同じように『〇〇をやれば再生数が伸びる』『登録者が増える』ということが企業にとって最善の施策ではないことも理解できると思います。
アルゴリズムの細かな攻略に囚われるより、企業の本質やブランド価値を視聴者に伝え、心に響く高品質な動画コンテンツを制作することが、結果的に売上や集客、信頼構築につながります。
4. 企業が取り組むべき具体的施策
ここでは、企業が短期と長期の両面から取り組むべき具体的な施策をいくつか提案します。
社内や取引先での実際のエピソード、スタッフのリアルな声、顧客の成功ストーリーなど、ブランド価値を伝える素材を活用した企画を立案する。顧客層の価値観に合わせて共感するコンテンツを作る。
高品質な映像は、視聴者に信頼を与え、共感を呼び起こす要因です。専門家による撮影・編集を外注するなど、品質向上に注力する。逆を言うとブランディングに直結するため、質の低い動画は逆効果になり得ます。
各動画のパフォーマンスをデータで測定し視聴者の反応に基づいてコンテンツの改善を継続的に実施する。これにより、変動するアルゴリズムに左右されず、着実な成果を狙います。これは冒頭に紹介した小手先の手法ではなく、より視聴者にとって有益なコンテンツ配信を行うための改善です。
単なる商品紹介だけでなく、企業の歴史、価値観、そして未来へのビジョンを動画コンテンツに盛り込み、視聴者に共感と信頼を与える。これは複数制作する必要はありませんが、HPにもあった方が良いキラーコンテンツになります。
5. YouTubeのアルゴリズム攻略に頼らない戦略
先述のように、YouTubeのアルゴリズムそのものの攻略は完全には不可能です。しかし、企業が本当に重視すべきは、プラットフォーム上での数値ではなく、視聴者との信頼関係と共感です。例えば:
- 数字が伸びなくても、コメントやシェア、問い合わせといったエンゲージメントが高い動画は、実際の売上やブランディングに大きく寄与します。
- 長期的な視点で視聴者との関係を構築していくことで、持続可能な集客とブランド価値の向上を図ることができます。
- 共感を得ること、感情を動かすことができるのが動画の魅力。それを最大限に活かすことが資産になること。
企業がYouTubeをビジネス活用する場合、どのような目的で、どのような位置付けで動画制作を行うかがカギになります。個人的には「収益化して収入の柱を増やしたい」と言う意識の事業者や企業だと、売上が向上ことは無理だと思います。
過去にそのような人たちを見ていて、業績が大きく変化したケースは1つもありません。いつの間にかYouTubeもやめて何しているかも不明な人しか見ません。
我々が行なっているのは『ビジネス』です。人の役に立ち、喜ばれ、人を幸せにすることができる商品サービスを売っていると思います。
商品を売ることで人を豊かにすることができる力を私たちは持っていますよね。だからこそ、一人でも多くの人に知ってもらうためにYouTubeを活用する。そんな位置付けで向き合っていくことが大事だと私は思います。
6. 結論『YouTubeアルゴリズム攻略』よりも大事なことに着目すべき
企業にとって、YouTubeを活用した動画戦略は、単なる再生数の数字以上に、ブランドの信頼性と顧客との共感を築く大きなチャンスです。アルゴリズム攻略の罠にとらわれず、視聴者に響く質の高いコンテンツ、そして実際のデータと現場の声に基づいたPDCAサイクルを取り入れることで、効果的な動画マーケティングを実現できます。
今後のマーケティング戦略においては、再生数の短期的な数字に頼らず、ブランドストーリーとユーザーエンゲージメントを軸にした動画戦略に注力することが成功への鍵となります。これにより、企業は着実に集客力を高め、売上アップにつながっていくと思います。
最後までご覧くださりありがとうございました。