
今回はウェディング業界のネタです。
実は、この数日間、結婚式場の支配人とウェディング業界・地域の動向についてお話しする機会がありまして、
やはり、式場が抱えている課題は集客方法である。と感じたのです。
式場のネットリテラリー
ブライダル業界はインターネットへの取り組み(ウェブ集客・SNS運用など)が、他の業界より遅れていると言われています。
この要因は、リクルートが発行する「結婚情報誌ゼクシィ」の影響力が凄まじかったからです。
新郎新婦も「結婚が決まったらゼクシィ」という意識で購入率はかなり高い。
当然、広告媒体として大きな「費用対効果」があったからです。
我々ブライダル業者(ドレスショップ・フォトスタジオ・指輪など)も、ゼクシィの広告を積極的に行なっている企業も多かった。
だが、この数年で大きく変化したことがある。
それは、メディア事業を営んできる企業が続々とブライダル業界へ参入してきたこと。
大手企業から、わずか数人でメディア運営している会社まで、その数は数え切れないほど増えている。
・ウェディングニュース
・marry
・ハナコレ
・楽天ウェディング
・イオンウェディング
・ハナユメ
など、これ以外にも数え切れないほど増えていると思います。
さらに月間2000万PV以上あるというメディアも存在し、その影響力は式場だけでなく、結婚式の流行にも影響している。
また、スマートフォンの圧倒的な普及率に伴い、新郎新婦向けにアプリ開発を行う企業も多い。
そこで、ユーザーである新郎新婦は、紙媒体のゼクシィだけでなく、スマートフォンのアプリ、メディアサイトからの情報収集など、スマホから情報収集を行うニーズが生まれました。
当然、式場側としては「人が集まる場所へ広告をだす」というセオリーは有効であり、
様々なブライダルメディアへ(ネット広告)に予算をかけているのです。
リピート率が極端に少ないブライダル業界では、新規顧客の獲得が業績に大きく影響してきます。
新規来館の獲得が最大の課題
紙媒体のゼクシィに加え、ゼクシィNETや、みんなのウェディングなどを中心としたメディアサイトへの広告が必須になってきています。
ところが、ウェディングの市場を考えると、
結婚式をあげる組数は年々減少するという未来が確実に待っています。
(出典元:ブライダル総研 婚姻組数予測より)
結婚式をあげる年代の人口減少。
そのことから、このような未来が考えられます。
<ブライダル市場が縮小する>
・新郎新婦の絶対数が減る>婚礼業界全体の年間施工数が減る
→売上を伸ばすためには、新規獲得(集客)が最重要課題となる。
・広告メディア媒体の増加>新郎新婦の利用者が増える
→メディアサイトへの広告掲載が今以上に必要になる。
<課題>
婚礼組数は減少する可能性が高い。今まで以上に集客コストがかかる。
年間広告費は増え、施工数は横ばいか下降気味となり、1件あたりの集客コストが上がっているのが式場の未来です。
メディア広告への依存体質を変える
「どのネット広告を行えば費用対効果が高いのか?」
というように試行錯誤している式場の声を耳にします。
ただ、この流れについて視点を変えて見ると、
他の業界では当たり前のように行われているウェブマーケティング、自社サイトでの集客、SNSの戦略的な運用など、自社で積極的に取り組んでいる式場が少ない。
そのことから、集客=メディア広告。
リスティング広告(検索型広告)やSNS広告(インスタグラム)を運用している式場も当然ありますが、
結果的に「メディアサイトがきっかけ」となっているという式場もあります。
しかも、一部のメディアサイトからの来館は「コスト(報酬)」がかかります。
ですが、手間が省ける、専門知識がない。周りも行なっているという理由から、
自社でウェブ集客に取り組むよりも、メディア広告へリソースを注ぐ。
という選択肢になっている式場も多いのが現状です。
たしかに、自社でマーケティング部を作り、新たな人員を配置すると、年間コストは1000万以上必要になると思います。
経営サイドから見ると、メディア広告に予算をかけた方が「手間もコストも効率的」に見えるかもしれません。
ただ、広告に依存している間は、企業としてのウェブ資産を残せてない。
この「ウェブ資産」の重要性に気づいていない式場は多く、コンサルに頼っているケースも少なくないようです。
・インスタ広告の運用
・LPを作ってリスティング広告
・人気のあるメディア広告へ掲載
・テレビCM
集客経路をメディア広告だけに絞ると、将来的な機会損失を大きくしてるのではないかと私は思います。
LPとリスティング、インスタなどのSNS広告は、他の業界では当たり前に行われており、数年前から取り組まれてます。
有効なネットマーケティングの手法ではあるが、効果も年々減ってきているはず。
理由は「周りの式場も同じような手法をとっているから」です。
もし、この程度の内容をコンサルタントから受けているのであれば、自社で簡単にできる時代なので担当者つけて運用させた方が、コスト削減できると思います。
さらに、「検索せずに表示させる技術」は、もう目の前にやってきています。
5G時代は広告も確実に変化する
これから5Gという通信速度の新しい世界が確実にやってきます。
そこで考えられるのが「動画広告」
さらなる追加投資が必要になるようメディア企業も仕掛けてくるでしょう。
動画広告用の映像制作コスト、定期的な内容の変更など、
今まで以上に広告に対してのコストは増える。と予測できると思います。
そうなると、年間広告費が増える一方で、結婚式の組数が減少し当然利益が減る。
今以上にウェブへの取り組みが必要になる時代が確実にやってきます。
メディアサイトへの広告が主な集客経路にしていると、このような可能性も否定できないのではないでしょうか。
最後に
通信環境やブロックチェーンなどの技術発展により、数年先に大きな変化が起こります。
縮小する市場もあれば、新たな市場も生まれるはずです。
メディア広告に頼るだけのモデルから、自社でウェブ集客できるモデルを作る。
という思考で、式場がSEOやコンテンツマーケティングに取り組み、
広告に依存しないビジネスモデルを構築する。
という選択肢を業界全体で行なっていく未来を望みます。
全ては、顧客である新郎新婦に「結婚式の価値」を届けるためでもあるからです。
メディア広告への掲載をよぎなくされてるのはブライダル業界も同じ。
ある式場はウェブサイトからの集客からではなく、みんなのウェディングのランキングアップに力を注いでいた。
ほとんどの式場が増え続ける大手メディア広告へ頼り、それと同時に膨大な集客コストが課題となっている。
— 山﨑一人@写真映像カメラマン×WEB×SEO×AVENIR代表 (@avenir_yamasaki) November 8, 2018
美容業界はホットペッパーへの広告を行わないと、存在すら認知されない。というサロンオーナーの声もあるように、ブライダル業界も同じ未来が待っているかもしれない。
この業界に身を置く立場として、また現場の支配人やプランナーも、自分たちだから届けられる情報や価値提供ができるはず。
自ら情報を発信して、ユーザーとなる新郎新婦に「結婚式の価値」を届けていくことも、
これからのブライダル業界の未来を作っていく戦略の1つであると私は思います。